概要
電動車向け駆動モータは高出力密度、高トルク、高効率などの性能要件を満たしつつ、低振動・騒音であり、高速回転時にも強度が確保され、高出力時にも温度上昇を抑え、かつ低コストである必要があります。性能要件は磁気設計を中心に検討されますが、後工程で、強度的に持たない、温度上昇が許容値を超えてしまうことになれば再度磁気設計に戻ることになり、手戻りが大きくなります。手戻りを少なくしようと思うと、マージン、安全率を大きく取ることになり、コスト的に不利になってしまいます。磁気、熱、構造そして制御設計を同時に進めながら徐々に詳細化して進めることで、性能要件だけでなく強度、熱マネジメントの要件も同時に満足することができます。シミュレーションをベースとした設計ワークフローとして進めることで、同時並行で検討を進めることができ、手戻りのリスクを下げながら全ての要件を満足する最適な設計案を自動的に求めます。
本事例では、電動車向け駆動モータとして∇型のIPMモータを対象に、トルク最大化かつ磁石体積最小化をWLTC走行モードでのサイクル効率を初期設計案以上にし、かつ磁石やコイルの温度、高速回転時の応力を制限以下に抑える条件で最適化計算を行いました。結果として、最大トルクを得られる設計案では温度や応力の許容値を満足しておらず、手戻りなく最適な設計案を得るためには、同時多面評価を行う必要があることがわかりました。
対象モータ
最適化条件
最大トルク | 最大化 |
磁石体積 | 最小化 |
平均サイクル効率 | 86%以上 |
磁石温度 | 100℃以下 |
コイル温度 | 140℃以下 |
応力 | 250MPa以下 |
図1 対象モータと最適化条件
8極48スロットの∇型IPMモータを対象として、効率マップは600Vdc、250Amax、最大出力制御で評価しています。右表に示したように、性能要件に加え、磁石・コイル温度、応力の指標を設け同時多面的に評価しています。
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