[JAC309] 材料を設計変数とした最適化

 
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概要

材料を設計変数とした最適化
自動車用モータなどの分野では小型化のためにより一層の高回転化が進んでいますが、高効率実現のために、回転数の増加によって増える鉄損を低減することが課題となります。
モータのコア材料としては一般的に電磁鋼板が用いられますが、近年ではより低鉄損であるアモルファス合金やナノ結晶合金によってコア材料を置き換えることで高効率化を図る試みも進んでいます。しかし、これらの材料は電磁鋼板と比較すると高価格であるため、製品開発においては性能とコストの両方の要件を満たすように材料を選択する必要があります。このようなトレードオフ問題に対して最適な材料選択を行うためには、材料を設計変数とした最適化計算が有効です。
ここでは、鉄損の最小化と材料コストの最小化を目的関数として、IPMモータの形状最適化と同時に、3種類のコア材料(電磁鋼板、アモルファス合金、ナノ結晶合金)から材料最適化を行った事例を紹介します。

最適化条件

表1に設計変数、表2に目的関数、表3に制約条件、図1に寸法変数を示します。

表1 最適化の設計変数
表2 最適化の目的関数
表3 最適化の制約条件
図1 寸法変数

最適化結果

図2に最適化計算で得られた実行可能解の目的関数の分布図、図3に鉄損300 (W)以下の範囲を拡大した図を示します。図4と表4に初期設計案と、最適化のパレート解でロータコア材料が電磁鋼板でステータコア材料がナノ結晶合金の組み合わせから選んだ二つの設計案A、Bの形状と目的関数値を示します。
図2、図3より、材料の組み合わせによって目的関数の値が飛び地状に分布していることが確認できます。ロータコアとステータコア両方の材料が電磁鋼板の組み合わせがもっとも材料コストが小さく、両方の材料がナノ結晶合金の組み合わせがもっとも鉄損が小さいことがわかります。中間にはロータコアとステータコアそれぞれ異なる材料の組み合わせの解が分布しています。ロータコアが電磁鋼板でステータコアがナノ結晶合金の組み合わせの方が、ロータコアがナノ結晶合金でステータコアが電磁鋼板の組み合わせよりも、鉄損が小さく、かつ材料コストも同等であることがわかります。ステータコアの鉄損が支配的なため、ステータコアに鉄損が小さい材料を採用する方がより効果が大きいことが理由です。
図4より、ロータコアが電磁鋼板でステータコアがナノ結晶合金の組み合わせの中でも、より材料コストが小さい設計案はロータコアが大きくステータコアが小さい形状になっていることが確認できます。ステータコアに価格が高い材料を使っているためです。
表4より、最適化により初期設計案から鉄損を1/17~1/30に削減できたことがわかります。電磁鋼板より価格が高いナノ結晶合金を使用していますが、材料コストの増加は2.5~3.8倍に抑えることができました。

図2 実行可能解の目的関数値の分布
図3 実行可能解の目的関数値の分布(鉄損300(W)以下の範囲を拡大)
図4 初期設計案と最適設計案の形状比較
表4 初期設計案と最適設計案の目的関数とコア材料

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