第8回 次世代の電磁界解析セミナー参加者ガイド

セミナーにご参加いただく皆様へ

次世代の電磁界解析セミナーに参加お申し込みいただきありがとうございました。
当日皆様に有益な時間を過ごしていただくために、また活発なディスカッションをもたせていただくために、改めて開催趣旨と共に私達の本イベントに対する想いについて、当ページでお伝えします。
来週からは、当日の講演で議論される技術用語の解説や参考文献なども紹介いたします。是非ご準備の上、ご参加いただければ幸いです。

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WEBアンケート回答が難しい方にはJSOLメンバーがお電話でお問い合わせします。集計結果などは皆様にもお知らせしてまいります。

皆様と一緒により良いセミナーにつくりあげられることを楽しみにしています。

次世代の電磁界解析セミナーとは

本セミナーは、私達JMAGの決意、今後力を入れて取り組んでいくテーマについて参加者の皆様とディスカッションさせていただく場として、1999年から開催してきており今年で8回目を迎えます。
今回の セミナーでは、自動設計に着目し、設計業務に適用する際の、直面する具体的な問題点とその対処方法について、今日実務展開に尽力されている研究者・技術者の方々に解説いただきます。
自動設計を実務に展開しようとしたときの課題について、皆様と直接ディスカッションできることを楽しみにしております。

各講演のご紹介

2019年06月12日
株式会社くいんと 石井 惠三 氏
トポロジー最適化と共に30年 – 研究課題から実用へ –
近年構造解析の分野で実務に供され、多くの部品の軽量化等に成果を挙げている連続体のトポロジー最適化技術は、1988年にBendsoeとKikuchiにより紹介された。この技術の特徴は、構造物の挙動を予測するシミュレーションの一歩先、境界条件下で利用者に「もう一つのアイディア」を提供することにある。30年の歳月はこの技術を実用化し、さらにこの先、自動設計の「要素」として期待される。構造解析分野におけるトポロジー最適化を紹介する。

JSOLからのコメント:
機械構造物のトポロジー最適化に30年取り組んでおられる株式会社くいんとの石井様から、トポロジー最適化が実務的にどのように利用されているかについてお話しいただきます。実務的に利用されるようになるまでにどのような課題があったのか、それをどのように克服されたのか、また近い将来、自動設計に適用される場合のあるべき姿、想いについてお話しいただきます。きっと、磁界解析においても実務的にトポロジー最適化が利用されるようになるための指針となると思います。

2019年06月13日
株式会社明電舎 小倉 和也 氏
明電舎におけるトポロジー最適化技術の開発と製品適用時における課題
トポロジー最適化技術を実際の製品開発へ適用するためには、二つの課題がある。一つはツールを適用する開発・設計ステージの選択である。我々はトポロジー最適化の特性を考慮し、ツールの適用方法を決めた。もう一つは得られた形状の特許化である。他社の特許に抵触せず自社の特許とするためには形状の特長を明らかにする必要がある。本講演では、明電舎と北海道大学が共同で研究した成果について、我々が社内ツール化する場合に生じたいくつかの課題について紹介するとともに、今後JSOLへ期待する内容について述べる。

JSOLからのコメント:
製品競争力向上の一環として明電舎でとりくまれたトポロジー最適化の技術開発についてお話いただきます。話題はトポロジー最適化そのものよりも、その技術を製品開発にどう活かすのか(技術の適用範囲)、得られた結果をどう解釈するのか(製造可能性や知的財産の問題)など実務展開の課題にフォーカスいただきます。企業の現場でどう最適化や自動化の実用化が進んでいるのか、今後何が必要になるのかなど貴重なインプットとなると思います。

2019年06月14日
芝浦工業大学 長谷川 浩志 氏
機械系の学生が取り組むEV用駆動モータの自動設計
モータ設計を知らない機械系の学生が、EV用駆動モータの磁気回路トポロジー最適化に取り組んだ事例について報告する。また、当研究室では、機械構造物のトポロジー最適化に自然から学ぶ手法、GA、ACO、ABC、DEなどを適用した研究を長年行ってきている。ここでは、最近の取り組みであるBMI(Brain Machine Interface)とトポロジー最適化の協調による力学的感性に基づく形状創生についても紹介する。
JSOLからのコメント:
遺伝的アルゴリズムを用いた機械構造物のトポロジー最適化に取り組んでおられる芝浦工業大学の長谷川先生から、電磁界解析の経験がない研究室の学生が、モータ磁気回路のトポロジー最適化に取り組んだ事例についてお話しいただきます。機械が専門のエンジニアが、例えば電気自動車の駆動用モータの設計に取り組むことになったシチュエーションを想定し、ここまで出来た!、をどう考えたかを含めてお話しいただきます。まだ、トポロジー最適化に取り組んでおられない方に勇気を与える講演になると思います。
2019年06月17日
株式会社デンソー 松村 泰起 氏
最適化計算を実務で活用するうえで私が心がけている3つのこと(3つの論文)
最適化計算を設計開発の実務で活用するうえで、また実務での価値創出を最大化するために私が心がけていることをお話させていただきます。以下の3つのポイントの対して学術論文を参照しながら考察します。
・最適化計算における3つのComplexity
・実用化の壁
・人とアルゴリズムの役割分担
JSOLからのコメント:
設計の自動化・最適化は設計プロセスの改革です。現場に展開にしようとすると必ず現状維持のメンタリティや費用対効果など様々な問題などに突き当たります。例えば、どのようにしたら最適化計算が信頼を得て現場に受け入れられるのか。本当に最適計算は有用なのか。最適化計算のプロであるデンソー松村様から、電磁界解析やCAE分野にとどまらず幅広く最適化計算の実用化についてお話いただきます。マネジメントの方にぜひ聞いていただきたい内容です。
2019年06月20日
株式会社JSOL 佐野
多目的・多制約最適化問題に対する大域的設計探査の自動化の試み
自動車の電動化に伴う電気機器の製品開発の競争が激しくなり、設計の自動化技術は属人的なスキルに頼らず生産性を向上させる手段として重要になってくると考える。最適化計算は自動化技術の手段の一つと言える。高性能な電気機器の最適化は多目的・多制約問題となる。そのため大域的設計探査が必要となり計算量が膨大になる。従来、計算コストの軽減、高速化のために工夫がなされてきたが多目的・多制約問題に対して精度を得るためには属人的な手続きを必要とする。本稿では多目的・多制約最適化問題に対して遺伝的アルゴリズムを用いて自動化を試みる。
JSOLから改めてのご紹介:
多目的、多制約最適化問題にフォーカスしてどのように最適化計算を属人性少なくして適用できるかについて考えます。従来、最適化計算の適用技術が開発されてきましたが、蓄積されたノウハウの自動化もしくはユーザによるチューニングが重要なポイントでもありました。今後設計の自動化に向けて考えたときに、最適化計算を誰もが使えるようになることが重要と思います。そのテーマで具体的な事例をもとに考察します。

ポスター紹介

当日会場では、最適化計算に関連するポスターを掲示します。
休憩時間などにぜひご覧ください。

  1. 多目的・多制約最適化問題の大域的探査の自動化
  2. 多目的・多制約最適化問題における設計空間の絞り込み
  3. 最適化計算とモデルリダクション
    関連資料
  4. モータ設計と自動化のためのロードマップ
    関連資料
  5. 自動設計のためのJMAG活用方法
    関連資料
  6. 最適化計算高速化のためのHPCクラスタ活用
    関連資料
  7. レベルセット法およびNGnetによるOn/Off法の改善
  8. トポロジー最適化で得られた結果の一考察
    関連資料

用語解説

セミナーに参加いただく上で必要な技術用語を解説します。
今日は、最適化問題についてです。

最適化問題は、寸法最適化問題、形状最適化問題および位相最適化問題に分類できます。

寸法最適化問題 最適化の目標、例えば指定点の磁束密度が、所定の値になるような磁性体の寸法を求める問題
形状最適化問題 最適化の目標、例えば指定点の磁束密度が、所定の値になるような磁性体の形状(直線、円、楕円等)を求める問題
位相最適化問題 最適化の目標、例えば指定点の磁束密度が、所定の値になるように磁性体のトポロジー(レイアウト)が変化する問題
設計変数 設計を決定する主要素である未知のパラメータ
制約条件 機械構造に所定の安全性、有用性、機能を保持するために、設計変数や状態変数に課せられる条件
目的関数 許容設計(制約条件を満足する設計)の中から何らかの基準を設けて最終的に一つの設計を選択するために導入された関数

参考文献

  • 高橋則雄著、磁界系有限要素法を用いた最適化、森北出版、2011.02
  • 山川宏著、最適化デザイン、培風館、1993.04

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