上海大学

JMAGによる損失・制御・振動、高精度詳細解析に期待

上海大学の電気工学科 Huang教授の研究室では、材料モデリング、磁気回路設計、マルチフィジックス、HILSを用いた制御設計などモータ設計の研究が行われています。JMAGは同大学と2012年からパートナーシップを提携しています。
今回は上海大学でJMAGがどのように活用されているか紹介します。

上海大学
電気工学科教授
Surong Huang

上海大学自動化技術学院

上海大学は1958年に設立され、在校生数5万人を超える市立重点大学で、上海市の宝山区にメインキャンパスを構えます。
同大学には自動化技術学院という学部があり、電気・制御の研究が行なわれています。1990年設立時、電力システムと、その自動化の研究から始まり、その後、制御理論、電気工学のコースが設立されました。現在、同学院は制御工学と電気工学の2つのコースに分かれています。
同学院の特長は、国内外において企業と共同研究を行なっており、上海電機や宝鋼グループといった地元の大手企業とのつながりも強いことです。海外では、米国、英国、フランス、日本の企業とも積極的に共同研究を行なっています。
今回は、JMAGのパートナー提携先である同学院 電気工学科(Huang教授研究室)でどのようにJMAGを活用しているかを紹介します。Huang教授は1977年から上海大学で教鞭をとり、JMAGのパートナー大学でもある米国ウィスコンシン州大学WEMPECでも研究をされていました。
Huang教授の研究室にJMAGが導入されたのは2012年です。当時すでに商用のソフトウェアや内製のツールを使ってモータ設計の研究が行われておりました。しかし、今後更に詳細な材料モデリングや連成解析、制御連携を行なっていく上で、研究室のリクエストにソフトウェアの機能や技術サポートの点で応えうるツールとしてJMAGを評価・導入いただきました。今回は研究室で扱っている研究テーマとJMAGの活用を紹介していきます。

モータ設計・制御設計のための測定・シミュレーション技術構築の取り組み

研究室では、モータシステムの最適設計とその検証を測定、シミュレーションの両方のアプローチで行なっています。磁気設計や機械・熱設計などのモータのマシンデザインだけでなく、パワーエレクトロニクスや制御までを幅広く研究テーマとして取り上げており、モータシステムの最適化を行なっています(図1)。シミュレーションも古くから導入しており、商用のソフトウェアを活用するとともに研究室でも解析プログラムの開発を行ってきました。研究室は複数のチームに分かれ、テーマごとにシミュレーションと測定を進めています。材料の測定からHILSのシミュレーション環境まで様々な実験設備も整備されています。

図1 磁気、NVH、応力、制御、熱を考慮したモータ最適設計

現在、JMAGを活用している研究テーマとしては、

  • モータ磁気回路設計(おもに損失評価)
  • 熱、構造などのマルチフィジックスの評価
  • HILSを活用した制御設計

が挙げられます。

損失評価への取り組み

研究室では、高効率モータの設計のためにモータの損失評価に注力しています。材料メーカとも協業しており、鉄損の応力依存性評価など測定と解析両方から取り組んでいます(図2)。特に以下の項目に着目し、解析や測定を行なっています。

  • 時間高調波、空間高調波による損失
  • 温度、応力依存性
  • 回転磁界の影響

JMAGも鉄損解析について機能が充実しているので研究室では解析のモデリング精度を上げ、実測との比較を行う予定です。

図2 応力依存性を考慮した磁化特性の測定装置

振動評価への取り組み

研究室では自動車メーカとの共同研究を行なっており、駆動用モータの設計を行なっています。そこでの重要な課題の一つに振動低減が挙げられます。
従来、研究室では内製の構造解析プログラムを使っていました。しかし電磁力による加振によって生じる共振現象を詳細に評価するためには、電磁力分布をマップできるJMAGのような解析ソフトが必要になってきます。JMAGは磁界解析・構造解析の連成、さらに音圧の評価までひとつパッケージで解析可能なので使いやすく、研究室でも活用できるよう解析を進めています(図3、4、5)。

図3 モータのステータティース先端にかかる電磁力の評価

図4 音圧測定装置

図5 JMAGによる音圧計算

解析事例:
黄苏融,张琪,杨萍,陈毅、Magnet Motor for Electric Vehicle Based on JMAG、2012年 IDAJ-China 中国ユーザー会論文集

制御設計評価への取り組み

研究室では古くからHILSの技術を活用して制御設計に取り組んでいます。磁界解析で得られたモータ特性をFPGA上の内製モータモデルに搭載することで、詳細なモータの挙動を実機なしで評価出来るようになっています(図6)。実際にモータの非線形性やクロスカップリングを考慮したモータモデルを組込み、FPGA上で1マイクロ秒の応答性をもってシミュレーションすることが可能になっています。HILSの技術はセンサレス制御や故障時のトレランス評価に用いられています。
これまではこういったシステムを研究室で自作してきました。しかし、新設計のモータごとにモータモデルを作成し、FPGAへモータモデルを搭載する作業が必要で、すくなからず工数がかかるものとなっていました。JMAGを用いることで、モータモデルはより簡単に生成することができ、制御設計に注力することができます。

図6 詳細なモータモデルを組み込んだHILS

企業エンジニアも参加するJMAGセミナー

上海大学では、研究のみならず教育にも力を入れており、学生だけでなく、企業のエンジニアを交えて解析技術のトレーニングやセミナーを実施しています。JMAGもパートナーシップ提携後、上海大学でトレーニングやセミナーを行なってきました。
2013年7月末にも2日間に渡り、JMAGを用いた最新の解析技術紹介セミナーを実施しました。大学の学生や中国国内の多くの企業が参加し、充実したものとなりました(図7)。

図7 上海大学でのJMAGセミナー

今後もJMAGは研究室の研究・教育の場で活用されると思います。

(インタビュー・文責: 佐野 広征)

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