JMAG-Designer Ver.24.2 リリースのご案内

2025-09-10

2025年9月、JMAG-Designer Ver.24.2をリリースしました。

JMAGは設計の自動化に向けて開発を進めています。そのために、Ver.24.2ではさらに機能を向上させています。特に、代理モデルを用いた最適化計算やモータの温度評価機能を大きくバージョンアップしました。

ここではVer.24.2における機能向上と新機能をピックアップしてご紹介します。

オフライン最適化の機能を提供します。オフライン最適化とはあらかじめ生成した代理モデルをFEAの代わりに用いることで、パレート最適解を高速に探索する手法です。代理モデルは多数の設計案を蓄積するデータベース機能である「JMAG-Design Explorer」から生成することができます。また、FEAベースの離散値の最適化において、使用する材料の最適化に対応しました。これにより例えばパフォーマンスとコストのトレードオフ関係のパレート最適化が可能となります。

モータの運転状態に関して、連続運転時に加え、短時間運転時の温度上昇を考慮したN-Tカーブや効率マップを描画できます。これらの評価を高精度に行い、かつモデルを簡単に作成できるように熱回路機能を強化しています。冷却路内の冷媒の流量はこれまで既知量として与える必要がありましたが、V24.2では流れ解析を導入し、流量を導出することができるようになりました。流量はベンチレーションやクーリングジャケット素子などの冷却素子で参照されます。

アキシャルフラックスモータの設計機能を強化しました。JMAG-Expressにユーザーのカスタム形状を登録することができるようになりました。新たにダブルロータ、シングルステータタイプに対応しました。また、磁気設計にコギングトルク、トルクリップル、誘起電圧、減磁シナリオを追加したことで、詳細設計が可能となりました。

超電導体の設定、計算がGUIから可能となりました。また、磁界-熱直接連成解析に対応しました。これにより、温度上昇によって臨界電流密度が低下し、局所常電導化によってさらに温度が上昇する、というような複合的な現象を解くことができるようになりました。

ぜひ新しいJMAGをご活用ください。

注目機能

1. 代理モデルによるオフライン最適化

生成した代理モデルを活用し、最適デザインを短時間で探索できます。

代理モデルによるオフライン最適化代理モデルによるオフライン最適化

最適化計算中にはFEA計算は行わず、高速に探索。代理モデルは「JMAG Design Explorer」に蓄積された結果を学習データとして生成可能。条件を変えながら最適化を繰り返すほど計算速度で有利となります。この例ではアキシャルフラックスモータの電圧の制約条件を100Vから120Vへ変えながら、実行可能解を高速に探索できています。

JMAG Design Explorerをご利用の場合は、利用申請が必要となります。

ライセンスの申請はこちら  ユーザー認証あり)

2. 材料を設計変数とした最適化

使用する材料を離散最適化の設計変数とすることが可能です。

コア材料と形状寸法を設計変数とした最適化コア材料と形状寸法を設計変数とした最適化

ロータとステータのコア材料を3種類それぞれ変えた9通りの材料組み合わせに対して、鉄損と材料コストのトレードオフを一度の最適化計算で評価することができます。ステータコアに低鉄損材(アモルファス、ナノ結晶)が採用された場合、ステータコアのサイズが小さいデザインが得られました。

3. 短時間運転条件の温度制約を考慮したN-T、効率マップ計算

短時間定格条件を考慮してN-Tカーブ及び効率マップの計算が可能です。

温度制約(短時間運転)を考慮したN-T、効率マップ計算温度制約(短時間運転)を考慮したN-T、効率マップ計算

モータが出力できるパフォーマンスはコイルや磁石の温度で制約されます。コイルや磁石の許容温度を考慮して短時間定格条件を算出します。この例ではコイルと磁石の許容温度を考慮して短時間(5分)定格条件を算出。制約を設けない場合(左)とコイルの温度を140(deg C)、磁石の温度を180(deg C)で制約した場合(右)を比較。運転可能領域がやや狭くなり、効率が低下している様子がわかります。

4. 流れ解析

これまで既知量として入力していた冷媒の流量を流れ回路で導出できます。

ベンチレーション(空気)の流れ解析ベンチレーション(空気)の流れ解析

この例ではファンによって入口から流入した空気がステータ/ロータのダクト及びギャップに分岐しています。解析結果としてそれぞれの経路の流量が求まります。ファンのPQ特性を入力することで流量と必要な圧力が釣り合った状態が求まります。

5. 熱回路強化(ベンチレーション、流量の参照)

ダクトなどを通る空気による強制冷却のモデリング

ベンチレーション冷却を採用した誘導電動機の温度解析ベンチレーション冷却を採用した誘導電動機の温度解析

流れ解析で求まった流量をベンチレーション側で参照できます。ファンのPQ特性と組み合わせ、駆動状態に合わせた冷却の解析が可能となります。この例ではPQ特性の異なる2種類のファンによる誘導電動機の飽和温度の差異を示しています。

6. アキシャルフラックスモータのユーザー形状登録

カスタム形状を登録するための設定ガイドに対応します。

アキシャルフラックスモータのユーザー形状の登録アキシャルフラックスモータのユーザー形状の登録

ユーザー自身が作成したアキシャルフラックスモータの形状をJMAG-Expressに登録してアキシャルフラックスモータの性能の評価を行うことができます。ダブルロータ/シングルステータタイプにも対応します。

7. アキシャルフラックスモータの設計への展開

コギングトルク、トルクリップル、誘起電圧、減磁のシナリオに対応し、評価可能な設計項目を拡大します。

ダブルロータ、シングルステータタイプのコギングトルク(中)、効率マップ(右)ダブルロータ、シングルステータタイプのコギングトルク(中)、効率マップ(右)

形状に応じて適切なメッシュを自動設定します。アキシャルフラックスモータの詳細設計用途での利用を広げます。

8. 超電導体の磁界-熱連成解析

超電導体のGUIでの設定、解析に対応。臨界電流密度の温度依存性や磁界-熱直接連成解析に対応します。

超電導体の磁界-熱直接連成解析超電導体の磁界-熱直接連成解析

パンケーキ型超電導コイル(30ターン)の磁界-熱直接連成解析の例を紹介します。1ターンのバルクコイルの形状データを準備すれば、複数ターンの超電導体、導体、絶縁体からなる層状の構造を自動生成します。この例では磁束密度が高い内周側の局所常電導化を発端に急激な温度上昇が始まっている様子が分かります。

バージョンアップ資料

詳細等は、以下の新機能紹介をご覧ください。(PDF 1.87 MB:  ユーザー認証あり)

JMAG-Designer Ver.24.2 新機能紹介 

ドキュメント

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高速大域探査

多面評価

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材料

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JMAG-Designer Ver.17.0 – Ver.24.1のご紹介

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