2025年1月、JMAG-Designer Ver.24.0をリリースしました。
JMAGは設計の自動化に向けて開発を進めています。そのために、Ver.24.0ではさらに機能を向上させています。
ここではVer.24.0における機能向上と新機能をピックアップしてご紹介します。
最適化の設計変数を離散値として扱えるようになったことで、得られた最適デザインをそのまま設計に活用できるようになりました。例えば、連続最適化ではコイルの巻数を整数に四捨五入すると線間電圧の制約条件を超えてしまうケースが考えられましたが、離散最適化を用いることで規格などにより離散値に制限される設計変数を含めた最適化ができます。これにより、設計の効率が向上し、設計プロセスがスムーズになります。
伝達関数による振動計算は、システムレベルでの振動評価を高速化します。具体的には、伝達関数を用いることで振動解析を短縮し、モータの電磁力によるギアボックスの振動を、モータ寸法を変数として高速に最小化することが可能です。これにより、システムレベルの振動が考慮された設計案を早期に得ることができ、設計プロセスにおける手戻りを防ぐことができます。
多ケース同時実行時の最適化処理時間が短縮されました。具体的には、内部処理の改善により、同時実行数1,000時の分散処理効率が74%から77%に、同時実行数2,000時の分散処理効率が60%から66%にそれぞれ向上しました。これにより、計算資源をより効率的に活用でき、設計プロセスのスピードが向上します。
直接法のMPP並列対応により、ICCG法の収束性が悪い場合でも解析時間を短縮できます。具体的には、AC損の大規模計算において、ICCG法の収束性が悪くなることで計算時間が長くかかっていました。しかし、直接法でMPPを使用可能にすることで、計算時間が反復法の収束性に左右されなくなり、検証に用いたモータモデルでは計算時間が77時間から2時間に短縮されました。これにより、解析プロセスが大幅に効率化され、設計サイクルを短縮できます。
JMAG-RTモデルのパスワード管理により、より安全なモデル流通が実現します。具体的には、JMAG-RTモデルの作成者は、JMAG-RT Viewerでパスワードや使用期限を設定し、制御設計者は、作成者から受け取ったパスワードを入力することでモデルを使用可能となります。これにより、モデルが意図しない利用目的や利用者へ展開されることを防ぎ、モデルの運用が適正化され、より効果的に運用することができます。
ぜひ新しいJMAGをご活用ください。
注目機能
1. 最適化の設計変数の離散値対応
規格などにより離散値に制限される設計変数を含めた最適化を行えます。
最適化パレート解の巻数と線間電圧の分布
連続最適化で得られた設計案に対してコイルの巻数を整数値に四捨五入すると、線間電圧が制約条件600Vを超えてしまうケースがあります。離散最適化を用いた場合は制約条件を満たしつつ製造可能な設計案を得ることができます。
2. 伝達関数による振動計算
システムレベルでの振動評価を高速化できます。
伝達関数によるEV パワートレインの振動評価
モータの電磁力を加振力としたEV パワートレインの振動評価を行えます。振動計算に伝達関数を利用することで、従来法(FEAによる振動計算)に比べ計算時間を短縮し20 倍の速度で同等の振動特性が得られます。
3. 最適化計算処理時間の短縮
2,000同時実行時の最適化処理時間を6%短縮できます。
分散処理性能の向上
内部処理の改善により、同時実行数1,000時の分散処理効率が74%から77%に、同時実行数2,000時の分散処理効率が60%から66%にそれぞれ向上しました。
4. 直接法のMPP並列対応
ICCGの収束性が悪い場合に解析時間を短縮できます。
AC損を含むモータ解析の高速化
AC損の計算では反復法(ICCG法)の収束性が悪くなることがあり、従来は計算時間を要していました。直接法のMPP対応により計算時間が反復法の収束性に左右されなくなります。上に示すモータモデルでは、77時間が2時間に短縮されました。
5. JMAG-RT モデルのパスワード管理
JMAG-RT モデルにパスワードを設定することでより安全なモデル流通を実現できます。
パスワード管理されたJMAG-RT モデルの流通
JMAG-RT モデルの作成者は、JMAG-RT Viewer でパスワードや使用期限を設定し、意図しない利用目的や利用者への展開を防ぎます。制御設計者は、作成者から受け取ったパスワードを入力することで使用が可能となります。
バージョンアップ資料
詳細等は、以下の新機能紹介をご覧ください。(PDF 1.66 MB: ユーザー認証あり)
ドキュメント
JMAGの新機能の使い方、サンプルデータをご用意してます。JMAGの様々な機能をぜひともお試しください。
高速大域探査
多面評価
- [JFT192] Pythonを用いた熱抵抗のユーザー定義
- [JAC294] 部品温度、応力の評価を含めた巻線界磁型同期モータの設計探査
- [JFT189] JMAG-Designerを使用した伝達関数の作成と振動計算
- [JAC303] システムレベルでの振動を考慮したモータの形状最適化
メッシュ
モジュールダウンロード
JMAGシリーズのモジュール最新版がいち早く取得できます。
その他、バージョン情報、リリースノート、マニュアルなどご利用いただけます。( ユーザー認証あり)
Ver.24.0をご利用になる前に、ライセンスサーバを5.5.11eにアップデートください。
ライセンス更新マニュアルとLM-Xライセンスサーバのインストーラはこちら( ユーザー認証あり)
新機能紹介動画
JMAG-Designer Ver.24.0をよりご活用いただくため、音声付きの動画をご用意いたしました。
JMAG-Designer Ver.17.0 – Ver.24.0のご紹介
これまでにリリースされたJMAG-Designerの記事をご覧いただけます。- JMAG-Designer Ver.24.0
- JMAG-Designer Ver.23.0 / Ver.23.1 / Ver.23.2
- JMAG-Designer Ver.22.0 / Ver.22.1 / Ver.22.2
- JMAG-Designer Ver.21.0 / Ver.21.1 / Ver.21.2
- JMAG-Designer Ver.20.0 / Ver.20.1 / Ver.20.2
- JMAG-Designer Ver.19.0 / Ver.19.1
- JMAG-Designer Ver.18.0 / Ver.18.1
- JMAG-Designer Ver.17.0 / Ver.17.1