2023年12月、JMAG-Designer Ver.23.0をリリースしました。
JMAGは設計の自動化に向けて開発を進めています。そのために、Ver.23.0では、設計の初期段階から詳細設計まで、設計のあらゆるフェーズでご活用頂けるようさらに機能を向上させています。
設計の初期段階において幅広い選択肢を削ることなく検討を進めるため、設計探査をより広域に行って頂けるように大規模多ケース計算の処理効率を向上させています。また、設計の段階が進んでいく中、より詳細度の高い3次元モデルのような大規模モデルを対象とした最適化を行う場合、代理モデルの援用により計算精度を損なうことなく計算速度を向上させることができるようになりました。そして、応力や温度など多面的な評価項目をより多くのモータタイプに適用頂けるよう、JMAG-Expressのシナリオに巻線界磁型モータを追加しました。また、仮想試作の段階においてモデルをより詳細化したいというご要望に対し、プリポストのモデルハンドリングを向上させています。プロジェクトファイルの読み込み、結果ファイルの読み込み、コンター描画の処理時間が大幅に短縮されています。さらに、設計のあらゆる段階でシステムとの整合をとりながら設計を進めて頂けるよう、制御連携モデルの出力、NVH評価用の電磁力出力、効率マップの機能を拡張しています。
ここではVer.23.0における機能向上と新機能をピックアップしてご紹介します。
- 広域探査・最適化
多ケースの最適化計算における応答値の読み込みおよびグラフ描画速度が向上します。10万ケースの応答値読み込みが5秒で完了します。
代理モデルを援用してFEAの計算を一部省略することで最適化の計算時間を短縮します。実績として、3次元アキシャルギャップモータの20世代の最適化計算において、パレートカーブの精度を維持しながら計算時間を1/3にできます。 - 多面評価
JMAG-Expressに巻線界磁モータのシナリオを追加します。巻線界磁モータの効率マップ、温度、応力を同時に評価できます。 - 大規模モデルでの仮想試作
大規模モデルのプリポストのパフォーマンスが向上します。数千万から2億要素のモデルについて、プロジェクトファイルの読み込みは最大3.5倍、コンタープロットの表示は最大1.7倍高速化します。 - システムとの整合
JMAG-Expressから制御連携モデルを出力できます。JMAG-Expressで検討した設計案をワンクリックで制御・回路シミュレーション用のデータとして出力できます。磁気回路設計をしながら制御回路との整合性評価を行えます。
ぜひ新しいJMAGをご活用ください。
注目機能
1. 多ケース結果評価 応答グラフ表示
多ケース最適化における応答グラフの表示時間を短縮しました。
最適化計算の全ケース応答値の読み込み時間
大規模(~10万ケース)の最適化計算で応答値の読み込みに時間がかかっていた問題を改善しました。10万ケースの応答値グラフの描画が10秒以内に完了します。
2. 代理モデルを用いた最適化
3次元など大規模モデルの多目的最適化の計算時間が短縮されます。
アキシャルギャップモータの最適化
代理モデルを用いて、FEAの計算を一部省略することで、計算時間を短縮することができます。20世代の計算を実施する中で、4世代ごとにFEAを実施することで、パレートカーブの精度を維持することができます。
3. 巻線界磁モータ シナリオ
JMAG-Expressで巻線界磁モータの機器定数、熱、強度の同時評価が可能になりました。
巻線界磁モータの効率マップと温度、応力の同時評価
巻線界磁モータは界磁コイルの温度およびコイル付近の応力が問題となり得ます。効率マップで最大回転数での応力は60MPaと問題ない一方、100Nm、1,000r/minでは界磁コイルの温度は120deg Cを超えており、冷却設計の見直しが必要と判断できます。
4. プリポストパフォーマンス
数千万から2億要素のモデルのパフォーマンスを向上しました。
要素数と処理時間の関係
大規模モデルの操作感をあげるために、プロジェクトファイルの読み込みを中心に処理速度を向上しています。特に1,000万要素以上で速度を向上しています。
5. JMAG-Express 制御連携モデル出力
磁気回路を変えて簡単に制御直接連携モデルを生成できます。
直接連携モデルを用いた制御シミュレーション
JMAG-Expressで検討した設計案をワンクリックで制御・回路シミュレーション用のデータ(FEAモデル)として出力できます。制御設計チームが磁気設計と平行して設計案のプラントモデルを使うことができます。
6. 伝達関数を用いた振動解析
モータの機器定数とシステムの振動を同時に評価できます。
伝達関数を用いた振動の評価
効率マップを評価すると同時にギアボックスやインバータ含めたシステムの振動を評価します。伝達関数を用いることで高速に振動評価が可能です。
バージョンアップ資料
詳細等は、以下の新機能紹介をご覧ください。(PDF 2.81MB: ユーザー認証あり)
ドキュメント
JMAGの新機能の使い方、サンプルデータをご用意してます。JMAGの様々な機能をぜひともお試しください。
形状最適化
JMAG-Express
JMAG-RT
多ケース計算のポストプロセス
モジュールダウンロード
JMAGシリーズのモジュール最新版がいち早く取得できます。
その他、バージョン情報、リリースノート、マニュアルなどご利用いただけます。( ユーザー認証あり)
新機能紹介動画
JMAG-Designer Ver.23.0をよりご活用いただくため、音声付きの動画をご用意いたしました。
- JMAG-Expressと外部回路シミュレータの連携
- JMAG-Expressで得られた評価の詳細化
- JMAG-Expressによる複数マップの同時評価
- JMAG-Expressからの振動評価用電磁力出力
- 磁石とコイルの温度変化を考慮した効率マップの確認
- 駆動用モータのモード走行時における部品温度評価